家を建ててからある程度の年数が経過すれば「家の傷み具合」などは当然、気になります。家をリフォームするにしても、既存の住宅を購入するにしても、やはりその家の状況というものをしっかりと知っておくことが必要です。
国の住宅政策の中に「既存住宅流通の活性化」ということが進められています。世帯数よりも住宅の戸数の方が上回っていて「空き家」が増え続けているため、住宅を取り壊し新しく建築するのではなく「今ある住宅を有効活用していこう」というものです。
ただ、課題もあります。例えば、既存の住宅を購入しようとする場合では「この家本当に大丈夫かしら」、リフォームしようとする場合でも「家のどこが痛んでいて、どのようにリフォームすればいいのか、また使いやすくリフォームできるのかしら」といった不安が生じてきます。
人間の体と同じように、その家の現在の状態をしっかりと把握すること、つまり「家の健康診断」をすることが重要で、その健康診断をするのがインスペクション(住宅状況調査・検査)です。
家の健康診断をするのは、第三者的立場で住宅のことに精通した専門知識を持った人で、インスペクター(住宅検査士)と言われ、住宅の劣化状況や不具合の有無を見極め、アドバイスなどを行う専門業務です。
インスペクターが行う業務は、既存住宅の売買の可否の判断にも用いられるため、インスペクターには中立性が求められ、客観的、誠実に取り組むことを、国土交通省が作成したガイドラインでも示しています。
ガイドラインでは、インスペクションの業務を3分類しています。
3つのインスペクション業務
家の劣化状態などの状況を十分に把握しないで、既存住宅を購入したり、長年住み続けている家をリフォームすると、工事を進めている途中や完成した後に、別の個所で劣化の状態や大きな不具合が見つかり、その補修工事に大きな負担が生じることがあります。
そうしたリスクを抑える有効な方法となるため「既存住宅・マンションの購入」や「自宅の売却」「自宅のリフォーム」「所有の賃貸住宅のリフォーム」を予定している場合などで考えられています。
国土交通省では、宅地建物取引業法の改正により平成30年4月1日から、宅建業者が不動産取引の仲介契約を締結する際、インスペクション事業者のあっせんの可否を示すことが義務付けられ、依頼者の意向に応じてインスペクションが実施されることにしました。また、買主に対して1年以内に実施したインスペクションの有無、実施していればその結果を重要事項として説明しなければならないことを規定しています。
●家の状態を把握することによってリフォーム計画が立てやすくなる。
●リフォーム工事中の追加を抑えることが出来る。
●第三者的立場の専門家が調査・検査するため安心できる。
●家の劣化状態や不具合などが分り、リフォームの必要な個所が分かる。
●入居後のトラブル防止になる。
●既存住宅購入の判断材料となる。
●インスペクションの報告書は将来の売却時に利用できる。
●購入者に対して安心感を与え、売却しやすくなる。
●売却後のトラブル防止になる。
●販売前にリフォームの個所が分かる。